#わたしが公務員に
なった理由
先輩インタビュー

入江 隆乃介

デスクワークよりも現場が多い研究職で水産業発展に貢献!
ワーク・ライフ・バランスが実現した県職員としての働き方

プロフィール

入江 隆乃介

入江 隆乃介

所属農林水産研究指導センター 水産研究部北部水産グループ 養殖環境チーム

現職水産

県入庁年月日令和2年4月

#わたしが公務員になった理由

大分県の水産業に貢献したい

学生時代に海に行く機会が多く、漁業者の方と関わることもあったと話す入江さん。その際に漁業者の皆さんの悩みを聞き、今の職に就く決意をしたそうです。

入江さん:中学生までは地元の津久見市の学校、高校は佐伯市の学校に通っていました。高校生の頃に県南で釣りなどをして海に親しんでいたのですが、その時に漁業者の方々が魚を取れずに悩んでいることを知り「水産業に貢献したい」と思うようになりました。海で藻場を増やしていくことに興味があったため、海藻の研究に力を入れている大学の水産学部に進学し、修士課程を修了しました。

現在は海藻の養殖・増殖技術の開発を行っている職場からほど近い豊後高田市に住んでいる入江さん。職場ではどのような仕事をしているのか伺いました。

入江さん:大分県ではヒジキの養殖が行なわれているので、ヒジキの苗を人間の手で人工的に作って養殖する人に提供するための研究等を続けています。藻場は魚やアワビ等の住処になるなど、水産・海洋生態系において非常に重要な役割を持っています。この藻場を構成する海藻を増やすための取組にも力を入れています。植樹のように、木の苗を育てて森に植えていく感覚で、水槽の中で育てた海藻の子どもたちを漁業者の方に提供して海に植えてもらいます。また、魚から食べられないようにカゴで覆ったり、生長を良くするために肥料を与えたりして海藻がしっかりと育つような技術開発も行っています。

今の職に就いてから業務に必要となったため、海に潜れるように潜水士の資格を取りました。研究の際は作業着を着ていますが、実際の海藻の様子を見るためにウエットスーツを着て海に潜ることもあります。

海藻の生育状況を確認する入江さん

自分の提供した技術が役立った

海藻を増やすための技術支援等を通じて、漁業関係者が喜んでくれる時にやりがいを感じると話す入江さん。

入江さん:大分県にはサザエやアワビの餌として重要なシワメ(正式名クロメ)という海藻がありますが、その藻場が県内全域で年々減ってきており、各地で藻場造成活動が取り組まれています。そこで、シワメの苗とともに、魚から食べられないように防御策を施す技術を現場に提供したところ、大きく生長させることができて手応えを感じましたし、現場からも「これなら増やせるのではないか」と喜んでもらえました。

この技術を姫島村の漁業関係者の皆さんに紹介したところ、興味を持った1人の漁師さんが中心となって試してみてくれることになり、その後、それをきっかけに潜水組合の方達が「大々的にやってみよう」と立ち上がってくれました。それまで小規模だった取組が大きく展開される土台を作ることができてとても嬉しかったです。

他にも、佐賀関で特産にもなっているクロメ(正式名カジメ)の苗をたくさん作れるようになったので、苗を県内全域の現場に提供して「良く出来ているね」とお褒めの言葉をかけていただけるようになりました。自分が提案・提供したものが現場で喜ばれると、とてもやりがいを感じますね。

また、人工的にテングサの苗を作ったのは県内では私が初めてで、他の県ではあまり積極的に取り組まれていないというのもありますが、他県と比べても大きく生長させる技術を開発することに成功しました。

海藻の幼芽を顕微鏡で確認することも

色んな地域の特産を知るのが楽しい

今の仕事に対してやりがいを感じている入江さんですが、困ったり辛く感じたりしたことはあるのかお聞きしました。

入江さん:ヒジキ養殖に用いるための苗を育てる技術がとても難しく、いろいろ試しているのですが、なかなか上手くいきません。この苗の育て方を確立していくことが、大きな課題となっています。

また、最近は台風や地震などによる自然災害が目立ってきていると感じています。災害後に現場に行って復旧など対処するような経験はありませんが、前回の台風の影響で県南の漁港施設が一部壊れたり、養殖施設等が被害を受けたと聞いた時は辛く感じました。

あとは、寒い時期に海水温5℃くらいの海に潜って作業をすることもあり、とても冷たくて体がきついと感じる瞬間はあります。また、繁忙期には猫の手も借りたいほど忙しくて挫けそうになることもありますが、自分のやりたいことができていて、現場の方達とも良い関係を築きながら夢だった水産業への貢献ができているので引き続き業務に励んでいきたいと思っています。

休暇を取りやすいことや、現場に出ることで各地域の生産物の違いを知ることができることが、今の職種のメリットだそうです。

入江さん:仕事を計画的に進めることによって休暇が取りやすく、その日一日の時間単位でも調整できるので、休み方を自分で自由に決められるのがメリットだと感じています。また、安定した職でもあるので、入庁後の早い段階で結婚に踏み切ることができたと思っています。

また、私は県北海域を担当していますが、佐伯市にある水産研究部の方と協力して担当海域外で作業することもあります。なので、時期によっては福岡県境から宮崎県境までの県内全域の現場に足を運ぶことがあります。今の職に就いてから県北の方に行く機会が増えて、各地域の魚や貝、海藻、ブランド食品などに出会えるのがとても楽しみです。私の育った県南の津久見市では養殖マグロやアオリイカが有名ですが、県北はヒジキなどの海藻、サワラ、ハモなど県南ではあまり見ないようなものが特産となっていて、大分の海の豊かさを改めて感じています。

作業中の入江さん

和気あいあいと過ごせる職場

学生時代は役所に行く機会が殆どなく、四角四面な方達が多いイメージだったものの、入庁してから良い意味でギャップを感じたそうです。

入江さん:研究員の方との付き合いが多いのですが、水産業普及指導員や県庁の方達と関わる機会も多く、皆さんフレンドリーな方が多いなという印象です。公務員は真面目できっちりしているお堅い人達というよりは、良い意味でみんな人間らしいなと思いました。仕事の悩みやプライベートな相談に乗ってもらったり、業務中でも気さくに話せて、仕事面でも手厚くサポートしてくれます。職場内の雰囲気も良くてとても楽しいです。

また、イメージ的にお役所仕事はデスクワークばかりで現場に出ることは少ないと思っていましたが、私の場合、割合としては現場が7でデスクワークが3と外で体を動かしていることが多いです。漁業者の方々と直接関われるような仕事を希望していたので、実際に現場に出て仕事ができて嬉しいです。

楽しく仕事をこなしている入江さんですが、休日はどのようなことをして過ごしているのか伺いました。

入江さん:海藻類等の業務に関する知見収集や観葉植物の栽培、読書などをして過ごしています。海藻についてどうしても気になったことを調べたり、家でも仕事のことをついつい考えてしまうので、日和が良ければ散歩がてら海に行って砂浜に打ち上がった海藻を観察するなどしています(笑)。

現場で作業することが多いそう

大分県全体の水産業を発展させていきたい

大分県の職員として、これから行いたいことや将来の夢などについて聞いてみました。

入江さん:現場からの要望に応えるための業務を行うことが多いので、もっと現場から頼りにされる存在になりたいし、自分から積極的に新しい技術やより良いアイデアを提示して、現場のかかえている課題を一つ一つ解決できるよう研究を続けていきたいです。

私は修士課程を修了していますが、今の職場では短期・長期の職員研修制度や博士号を取得するための支援制度があると聞きました。この先、私も県庁や振興局(水産業普及指導員)への転勤があり、県庁勤務になるとデスクワークで水産業の仕組みづくりなどの分野を担当することになるかもしれません。現場に研究成果を提供できるようになってきたところなので、もう少し現在の職場で頑張りたいという想いもありますが、行政や普及などの経験を重ねて、トータル的に研究の企画力・遂行力を上げて、より現場に貢献できるようになりたいです。

MESSAGE 大分県職員をご検討の方へ

私は入庁してまだあまり経ってないので、県の制度や仕組みなどに関しては詳しく理解しきれておらず活用できていない部分もありますが、この仕事は休みが取りやすいなど、ワーク・ライフ・バランスを充実させやすいと思います。私のようにどんどん現場に出ていく職種も多くあるので、デスクワークではなく現場で働きたいという方にもおすすめです。 何より、漁業者の方々と関わりながら沿岸漁業や養殖業を発展させるような働きができるので、少しでも大分県全体のために何かしたいという気持ちや志がある方は、ぜひ県職員を目指して欲しいと思います。

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